Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
下山 巖; 箱田 照幸; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵; Koswattage, K.
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, p.93_1 - 93_2, 2012/00
近年、共役系炭素材料にBやN等のヘテロ原子をドーピングすることで酸素還元反応(ORR)の触媒活性機能が現れることが報告され、注目を集めている。われわれはPドーピングによる触媒活性と結合状態との相関関係を調べるため、イオンビームを用いて高配向グラファイトにPドーピングを行い、PK端NEXAFSスペクトル測定によるキャラクタリゼーションを行った。NEXAFSスペクトルはPドーピング時の試料温度により偏光依存性が大きく変化し、室温ドーピングで作成した試料よりも高温ドーピングで作製した試料に対して明瞭なグラファイト的な偏光依存性が観測された。この結果はPサイトでの局所的な立体配置がドーピング条件により異なり、高温ドーピングで作成した試料ではグラファイト的な平面構造をとるのに対し、室温ドーピングとポストアニーリングを行った試料では歪んだ平面構造が形成されたことを示唆している。われわれは偏光依存性の異なる試料に対して電気化学実験を行い、偏光依存性の大きい試料ではほとんど触媒活性が観測されなかったが、偏光依存性の小さい試料に対して触媒活性を観測した。このことはPの局所的な立体配置がORR触媒活性に影響する可能性を示唆している。
馬場 祐治; 成田 あゆみ; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 圓谷 志郎; 境 誠司
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 201, 2012/00
酸化物は、触媒,光触媒,吸着剤,デバイス基板など、さまざまな表面機能性材料として使われており、これらの研究開発においては、酸化物表面における原子や分子の構造や位置を正確に決定することが重要である。しかし酸化物の多くは絶縁体であり、ビームを使った手法では表面に電荷が蓄積するため、構造を決定することは難い。そこで本研究では、表面電荷の蓄積が少ない軟X線をプローブとして用いたX線定在波法により、酸化物表面の原子、分子の構造解析を試みた。試料は、サファイア単結晶表面に吸着した有機アルキルリン酸分子(炭素数10個)を用いた。軟X線放射光を表面垂直方向から入射し、ブラッグ反射が起こるエネルギー付近で光電子強度の変動を解析することにより、リン原子,炭素原子の表面からの距離を求めた。その結果、リン原子は表面から0.11nmの距離に存在するのに対し、炭素原子は特定の距離を持たないことがわかった。この結果から、吸着した有機アルキルリン酸分子は、リン原子がサファイア表面直上に位置し、アルキル基が上に伸びた自己組織化膜を形成することが明らかになった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 永野 正光*; 野口 英行*
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 159, 2012/00
直線偏光した放射光軟X線を用いたX線吸収微細構造法(NEXAFS)により、固体表面に蒸着した一次元状シリコンポリマーの配向を調べた。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)のSi K-吸収端NEXAFSスペクトルには明瞭な偏光依存性が観測された。この偏光依存性を解析した結果、PDMSはHOPG表面に平行に「寝ている」ことがわかった。これは金属銅やインジウムスズ酸化物(ITO)表面においてPDMS分子は垂直に「立っている」というわれわれが以前報告した結果と全く反対であった。このような表面による配向の違いを、表面の平坦性や基板-分子相互作用の大きさから議論した。
松井 利之*; 岩瀬 彰宏*; 山本 博之; 平尾 法恵; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 243, 2012/00
Baを含むペロブスカイト酸化物の磁気特性や誘電特性を調べ、これまでにチタン酸ストロンチウム単結晶表面に作成したBa(FeMn)O(BFMO)が室温で強磁性体であり、その酸素欠陥量が磁気特性に影響を及ぼすことを明らかにしてきた。しかし薄膜中の酸素濃度を熱化学的に正確に制御することは困難である。酸化物に高速重イオンを照射すると酸素欠陥ができることが知られており、これにより酸化物中の酸素濃度を制御できる可能性がある。そこで本研究では、BFMOに200MeV Xeイオンを照射し、照射による構造変化について調べた。チタン酸ストロンチウム単結晶表面にエピタキシャル成長させて作成したBFMO薄膜は正方晶のペロブスカイト構造をもつことを確認した。X線結晶解析の結果、イオン照射によりBFMOの格子がわずかに広がることがわかった。放射光を用いたX線光電子分光法(XPS)を測定した結果、重イオン照射によりFe2pの結合エネルギーがシフトするのに対し、Mn2pのエネルギーはほとんど変化しないことがわかった。これらの結果から、高速重イオン照射により効果的にFe原子周辺に酸素欠陥が生成し、それが磁気特性に影響を及ぼすことを明らかにした。
今園 孝志; 倉本 智史*; 小池 雅人
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 416, 2012/00
透過型電子顕微鏡に搭載できる24keV領域用平面結像分光器を開発するために、一定入射角でも一様に高い回折効率を得ることができる新しい膜構造を持つワイドバンド多層膜回折格子を開発した。これまでのわれわれの研究において、マスタ回折格子にこの新しい膜構造を積層した新型多層膜回折格子の回折効率が測定エネルギー領域全域(2.14.0keV)において広帯域化していることを確かめた。今回、実用性・汎用性を鑑み、新たにマスタ回折格子を作製し、それのレプリカ回折格子に新しい膜構造を積層した多層膜回折格子の回折効率を測定した。測定は前回同様、PFの二結晶ビームラインBL-11Bに接続した自前の軟X線回折計を用いて行った。その結果、レプリカ回折格子の回折効率は高エネルギー側でマスタよりわずかに劣るものの、レプリカで回折効率の広帯域化に成功した。
豊島 弘明*; 平賀 健太*; 大野 真也*; 田中 正俊*; 小澤 健一*; 間瀬 一彦*; 平尾 法恵; 関口 哲弘; 下山 巖; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 102, 2012/00
有機分子と半導体表面との界面状態はこれまで構築されてきた無機半導体技術に有機半導体を融合していくうえで重要となる。本研究ではさまざまな分子で前処理を行ったシリコン(Si)基板表面上における-チオフェンオリゴマー6量体(-6T)の薄膜形成過程をPES、角度分解NEXAFS(X線吸収端微細構造)、及びSDRS, RDS法により調べた。水分子を先に単分子吸着させたSi表面上に-6T分子を吸着させた場合は、角度分解NEXAFS法により-6T分子は基板表面上で分子主軸を直立させて配向することがわかった。また、垂直配向度は吸着厚みに依存した。0.6nmに比べ3nm以上の多分子層において配向性はより顕著であった。さらに、-6T分子の配向性は前処理した分子の種類に依存した。エチレンを曝したSi表面上において、-6T分子の配向はそれほど顕著でないことが見いだされた。前処理により分子配向を制御できる可能性を示す結果である。
池浦 広美*; 関口 哲弘
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 96, 2012/00
ドナー有機半導体であるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)主軸のレジオレギュラリティー(頭尾結合様式の完全性)は分子配向をコントロールするうえで重要な因子であり、有機太陽電池の性能に大きく影響を及ぼすと考えられる。本研究は溶液法によりレジオレギュラー(RR-) P3HTの配向薄膜をシリコン基板上に形成し、その配向構造を角度分解X線吸収端微細構造(NEXAFS)法により調べた。最低空軌道エネルギー(LUMO)をS 1s吸収端エネルギーから得て、エネルギー変換効率を求め、アモルファスP3HT薄膜と比較した。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 矢板 毅
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 94, 2012/00
有機分子薄膜を用いた電子材料,光学材料の基板には、絶縁性や透明性に優れた酸化物基板が多く用いられている。しかしながら、酸化物表面は化学的に不活性であり、しかも有機分子結晶と酸化物の格子定数は大きく異なるため、酸化物表面に有機分子を固定化し均一な薄膜を作成することは難しい。本研究は、リン酸基と酸化物の親和性が高いことに着目し、炭素数10個のアルキル鎖の末端にホスホン酸基をもつ分子(DPA)をサファイア基板表面に固定化することを試み、界面の化学結合状態を放射光内殻分光法により調べた。基板をDPAのエタノール溶液に浸すことにより作成した膜についてX線光電子分光スペクトル(XPS)を測定した結果、DPA分子はリン原子を下、アルキル鎖を上にして基板に吸着していることがわかった。またXPSとX線近吸収端微細構造(NEXAFS)スペクトルの結果から、室温で島状に吸着したDPAは、250度に加熱することにより、均一な単分子膜に変化することがわかった。以上のことから、ホスホン酸基は有機分子を酸化物表面に固定化するための優れたアンカーであることを明らかにした。